ぼくらの共時性 

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けつろん 電子霊界帝国
by そらしま みつたる

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そらしま 2006年作 

水面のぺルソナ破壊

. 死というものは霊界への旅立ちだと昔から言われて来た。

. 「小説 ゆめつなぎ」では霊界を無意識界と度々同定しているが、霊界意識を持つ生物

人間だけである。動物にはそんな観念はさらさら無いし、霊界へ行ける人間に嫉妬も

ていない。

. とすればそれは霊界も人間知性の一種の観念である事になる。人間の霊界には動物も住

でいるが、動物には霊界そのものがない。なんの事はない、霊界とは精神界の事なのだ

。それは知性の事である。

. かねてからこのエッセーにはとても多くの動物が登場したが、動物の無意識と人間の無

識との関わりは、むかしから「トーテム」として知られて来た。トーテム・ポールのト

ーテムである。

. 世界各地の原始民族はアニミズムな祖先的動物神話を持ち、アフリカのある民族などは

ワニを殺す事は祖先を殺した事になるほどである。それをする事はとんでもない災難が

降りかる事になるのだ。ネイティブ・アメリカンのコヨーテ、ロシアの熊、日本のキツ

ネしかりである。

. それに夢を無意識界の作業の結果だとすると、犬やネコなどの動物も夢を見る経過が観

されているので、それが動物の霊界だといえば言えるのかも知れない。ウィルスやゾウ

リムシがほ乳類よりも劣化的な夢を見ていないとは誰も言えないのである。

. 前のページで考察してみたように、物さえも「生まれよう、生まれよう」とする夢から

現した稀な可能性なのだ。

. だとすると霊界も、人間の知的な作業で人工的に作られたイメージと言うよりも、もっ

自然に生物にこってり身に付いている、知性感情システムだと言える。

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. ここでインターネットのWebが人工的な電子的霊界であると仮定してみたいのである

が、霊界には御存じのように天国と地獄があり、Webも御多分にもれずその通りのものに

なっている。元々、人間の霊界にごったごたあったが、Webで電子物理化したのである。

. そしてそこでは国境も、宗教の入ったら出られない排他性も希薄になろうとしており、

いう事はいずれ経済領域も、言語的隔離も的確に崩壊していく事を意味している。

. 近未来のWebでは世界通販は拡大し、新しい電子通路が開通し、翻訳ソフトの精度は

向上する事が約束されている。

. おそらく労働も遠隔操作で行えるようになり、辺鄙な所に住んでいる事を隠そうとする

もないし、出稼ぎをする必要もない。純粋に個人の知性と、持っている技術が評価、

れる世界なのだろう。

. 実際にすでに地球から、月の労働ロボットを操作する月工場の竣工式の上がって

る。一人の労働力を100のロボットに稼動させる事すら理論的には可能である。家で

を割れば、世界の100箇所で同じ動作が共時性的にシンクロする日が来ようとしているの

だ。

. 最早、マルクス主義的労働理念は劣化してしまい、共時性も電子的に作り出す事が可能

なったのだ。

. 世界は貧富の差ではなく知性と情報の差の世界になりつつあるのだ。最早、国家的でっ

上げ情報によって、国民を丸く制御しずらくなっている。

. 昔から自然界に起きる神秘と言われる現象も、実は人工的に起こせる日常浄化の可能性

自然からのヒントのサインに他ならないのではないのか。

. 共時性も人工化が進み行く中で日常化するのだ。人工とは自然を模倣する劣化的表現で

り、荒いレベルでの物理化なのだ。それは「神様ゴッコ」でもある。

. この「第三の電子霊界経済」は世界共通のクレジットカードや電子マネーのさらなる進

によって促進されて、旧国家ではない別の帝国の一番鶏が鳴く。この「エレクトリック

・ランド」は多重的に重なった文化レイヤーを作って重層していくのだ。

. 古い「並行的空間意識である国境トリック」を意識した地域エゴは希薄化し、新たな霊

ディレクリトリーでの今までジッとしていたエゴが形成され始める。

. Webにおいては事実上、ポルノも国政宗教に関わらず世界同時解禁されてしまってお

り、自戒の念を持っている暇もなかったのだ。非有線の人工衛星モバイルの発達により思

想も表現も、国家の枠を超えてしまうだろう。

. 土地に縛られた従来からの国民性はいよいよ便宜上のものとなり、机上だけのものとな

る。国を超越して色々な精神国家が切磋琢磨して樹立する。

. テクノロジーに旧来の国家政策、国境が全く追いつけないのだ。

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. この「新しい霊界」に旧態以前とした版権などという観念を維持して行く事はおそらく

可能だろう。早々と破棄した方がいいような気もする。あらゆるものはコピーされ、

のように増殖していく。むしろ今後はコピーされ、増殖し、変形されるのが、そのイ

メージメジャーとして生き残る道なのである。誰にもコピーされないイメージは死に絶

えていく。長い時間コピーされ続けるものこそ生き残り支持されるのだ。

. これは知性というものが昔から持っている本質である。僕らの遺伝子自体がコピーなの

から。コピーしたものを独占的に販売しようとする商売自体が一時的なものであり、終

りを告げる。そして即、有益なものは「物質的共時性の原理」により増殖し生き延びる。

. 物質的な制御はしばらく国によっては国境を使用して行われるだろうが、それも時間の

題だ。「物質の」である霊的情報は国境なき霊界を形成して行こうとするモットー

より行動するからだ。

. 世界宅急便はますます配達地域を先行拡大し、すでに同じ形態を遠距離に作り出す事

NC旋盤やレーザー成形(紫外線硬化溶液にレーザーを照射して立体成形物を得る)で可

能である。

. この「新しい霊界」の構築は情報の格差を平均化する必要があるが、Googleによるア

ジア地の村への街角パソコンの壁埋め込み設置事業などもすでに始まっていると聞く。

. 1万円以下のパソコンも非営利団体により量産する計画もあるようだ。まずは選り好み

ないで見られる事が大事だからだ。日本での携帯電話の普及でも分るように、庶民に難

しい作業は必要ないし、参加するだけであれば、それほど膨大なメモリも難解なアプリ

ケ−ション・ソフトもいらない。いずれすべては携帯化するだろし、それはアフリカにも

拡大するだろう。Web関連企業の利潤は世界に還元されるべきであるし、それがまた企業

華麗な自己拡大にもつながるだろう。企業が国家とは別のレイヤーで企業国家を樹立す

る可能性もある。

. ベンヤミンが資本主義を「救いなき宗教」といったように、ここでの企業は電子霊界に

みおつくしを打つ世話役となり宗教になる可能性がある。

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中国西部ゴビ砂漠西南地域 こんなところにいて寂しく無いですか?

これにくらべれば僕らの雑踏の中の孤独なんか何でもないではないか。

(Google Earthによる俯瞰)

地域にも顔があり、その中にもまた顔がある

 

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. Webでこれから起ろうとしているのは世界同時物理コピーの「人工的共時性」だ。

. つまりWebは「現国境の崩壊」の電子霊界の実現であり、その法界の物理的現実の先

駆けでもある。

. 核兵器の存在価値は局部的地域に敵が閉鎖している事にある。不敵なアルカイダを見れ

分るように、それは分散した精神国家なのだ。すでにキリスト教徒や回教徒は世界各地

にちらばって精神圏を形成しているように、新しいリスト化されない極少なサイクルから

極大な帝国までが電子によってリンクする。兵器によって散者を狙い撃つ事はできな

い。不動産的発想の兵器が無化する時代なのだ。

. 楽天的な未来の事ばかり書いて来たが、ぽんとうに、僕らの未来は今、どんな方向へ向

っているのだろう。

. その方向は議会で謀られ、上げられた手によって決まってしまうだけではなく、僕らの

意識の舵取りの力が大きいだろうから。

. もし地球の国境がほんとうに消滅した時には、その事は「新しい他者」の出現を意味し

いるのではないのかと、僕は思うのだ。僕らは絶えず他者と言う者を必要とするからだ

. それが黒船に乗った異星人なのか、別の星に移住した地球人になるのかは、このエッセ

を書いている時点(0702)ではまだ分らない。

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. おわり

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(結論なので少々むずかしくなりすぎた事をお詫びし、終りといたします。)
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「僕らの共時性」 完  2007.2月 そらしま

このページの音楽仕様 (Sound design)
三味線+生録音  by Sorasima Mitsutaru